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UFO 『Official Bootleg Box Set 1975-1982』 #2

引き続き後半戦。シェンカー在籍時の78年(D4)、ポール・チャップマン再加入後の81年(D5)と82年(D6)の3枚一気聴き。ブートレグと名乗りつつもそこは流石オフィシャル、どれも音質は文句無しのクオリティになっています。
 


”Hello, Cleveland! Would you please welcome from England, UFO!!!"

思わず『Strangers In The Night(邦題:UFOライブ))』を思い出すそんなイントロダクションから始まるDisc 4、1978年10月16日、オハイオ州クリーヴランドでのライヴはその『Strangers~』と同じツアーからの音源なんですよね。

まるで眼前で演奏されているかのような、小さなハコならではの至近で鳴る音も十分魅力的だし、既発版との音質差も気になる。これまで聴いたことのなかったシェンカー脱退後のライヴ音源にも興味津々。

けれど、やっぱり一番気になっていたのは、聴きたかったのはその傑作ライヴが収録された’78USツアーの別音源であるこの4枚目でした。ましてや「Previously completely unreleased」ですからして(真性ブートでは出てたのかも知れないけど)。そんな微妙なところを嗜好してしまうのはある意味ブート好きの性ってやつなのかも知れませんが、とまれ、あの見事な完成度を誇る演奏、中でも神懸かっているとまで評されたギタープレイはここでも聴くことが出来るのだらうか?

で分かったのが、複数のソースから取捨選択して作られた『UFOライブ』はやはりバンドが最高だった瞬間を閉じ込めたものだったってこと。この”バンド”をシェンカーと置き換えてもいい。練り上げられたメロディアスな旋律と閃きに満ちたフレーズのコンビネーション。一音一音丁寧にヒットしながら同時にピッキングノイズを絡め独自の官能性を高めたトーン、そして随所でフィードバックを巧みに絡ませる扇情的なフレーズ。

すいません、他のメンバーについては割愛します(苦笑)。そんな完成度の高さの前ではセットの構成や各曲のアレンジは同様ながら、やや分が悪いと言わざるを得ません。けどだからこそとても興味深いし、聴き応えがあるとも言える訳ですが。


1999年にエクスパンデッド・エディションとして2つのボーナストラックを加え、実際のライヴの演奏順に再編成された『UFOライブ』は全15曲収録に生まれ変わり、対するコチラは13曲と少なめ。おそらくクリーヴランドでも演奏されたと思しきアンコール曲の「Too Hot To Handle」「Shoot Shoot」が収録されてない点は残念ですが、公式版では聴くことの出来ないヘヴィなナンバー「Pick It Up And Go」とさらにヘヴィさを増した(なのに徹底してポップなところがこの頃のUFOの真骨頂でもある訳ですが)「On With The Action」ではエンディングのエレピがそのまま「Doctor Doctor」のイントロに変わる瞬間にグッと来ますね。

音質はまるで最終仕上げ前のラフ・ミックスのよう。それでも十分高音質、あくまで公式版というレベルにおいても、です。

Disc 4 : Live in Cleveland, Ohio, USA - 16th October 1978
01. Hot And Ready
02. Pack It Up (And Go)
03. Cherry
04. Let It Roll
05. Love To Love
06. Natural Thing
07. Out In The Street
08. Only You Can Rock Me
09. On With The Action
10. Doctor Doctor
11. I'm A Loser
12. Lights Out
13. Rock Bottom

Phil Mogg - vocals
Michael Schenker - guitar
Pete Way - bass
Andy Parker - drums
Paul Raymond - rhythm guitar, keyboards

UFO_1978.jpg
『Strangers In The Night』 Remastered in 2008 のブックレットより

続いてはマイケル・シェンカー脱退後のライヴ音源。Disc 5、6共に会場はロンドンのハマースミス・オデオンですが、まずは1981年2月20日公演を収録したDisc 5から。アルバム『The Wild, The Willing And The Innocent』リリース時の演奏でシェンカーの抜けた穴は74年に数ヶ月間活動を共にしたことのあるポール・チャップマンが埋めていますが、80年にはポール・レイモンドまでもがMSG参加の為に脱退。その後釜はニール・カーターが務めています。

この頃になると僕自身スタジオ作をほとんど聴き込めていないので、曲が新鮮に聴こえますね。どれも割とハードロック然としたストレートな曲調ですが、それらと彫りの深いメロディとドラマ性のある構成がウリなシェンカー時代の曲とのコントラスト感がなかなか面白い。

そしてそこでのチャップマンのソロはシェンカー節を部分的に踏襲しながら独自のアプローチへの拘りを感じさせるもの。「Only You Can Rock Me」のようなハズしようが無い曲は別としても、例えば「Love To Love」では全編アドリブで勝負しているようなスリリングなソロを聴かせてくれます。まるで美メロに対抗するにはそれしかないとでも言いたげに。

新らしめな曲の中ではアコギによるブルース風味の導入部分からいきなり怒濤の疾走を繰り広げるプレスリーのカヴァー「Mystery Train」がいいですね。トリッキーなフレーズを織り交ぜた速弾きはかなりの聴き応え。ポール・チャップマン、相当な業師ですよって。

最後の「Lights Out」も面白い試みがなされています。アレンジはそのままにややテンポを落としヘヴィさを増していますが、中盤のまるでZEPのようなリズムコンシャスな展開からメンバー紹介を経て、再びメインテーマに戻る瞬間はこの音源最大の聴きどころでがしょう。シェンカーのいないこの曲にこんなにもグッと来るとは思いませんでした。実にカッコイイです。

Disc 5 : Live at Hammersmith Odeon, UK - 20th February 1981
01. Chains Chains
02. Long Gone
03. Cherry
04. Only You Can Rock Me
05. No Place To Run
06. Love To Love
07. Makin' Moves
08. Mystery Train
09. Lights Out

Phil Mogg - vocals
Paul Chapman - guitar
Pete Way - bass
Neil Carter - rhythm guitar, keyboards
Andy Parker - drums

さて最後は82年1月28日に行われた同会場でのライヴ。メンバーは前年と同じ顔ぶれで、時期的には新作『Mechanix』リリース時になります。で、その『Mechanix』から2曲、ストレートなハードチューン「We Belong To The Night」とキャッチーなサビが印象的な「Let It Rain」のメドレーがグッド。こりゃ80年代のオリジナルアルバムもちゃんと聴かにゃいかんかも。が、3曲目、4曲目と聴き進んで行くと、シェンカー期に比べてリズムや基本アレンジにちと単調さが目立つきらいも(すいません)。

だからなのか、もう何度となく聴いてきた「Only You Can Rock Me」。このキャッチーの権化のような曲が却って新鮮に響いてきたりして。それは「Love To Love」もまた同様(この曲のやけに軽いシンセサイザーの音に時代を見るか?)。

Disc 3以来のご無沙汰「Too Hot To Handle」は元のキャッチーな味わいにかなりのヘヴィネスがプラスされていますが、それはどうもニール・カーターの弾くディストーションをかなり効かせたギターに種がありそう。出来ればここでも「Lights Out」が聴きたかったけど、最後は凄まじい音圧で迫ってくる8分を超えるエルヴィスのカヴァー「Mystery Train」で〆。

Disc 6 : Live at Hammersmith Odeon, UK 'BBC IN CONCERT' - 28th January 1982
01. We Belong To The Night
02. Let It Rain
03. Long Gone
04. The Wild Willing And Innocent
05. Only You Can Rock Me
06. No Place To Run
07. Love To Love
08. Doing It All For You
09. Makin' Moves
10. Too Hot To Handle
11. Mystery Train

Phil Mogg - vocals
Paul Chapman - guitar
Pete Way - bass
Neil Carter - rhythm guitar, keyboards
Andy Parker - drums


Disc 4と5のみ”Previously Completely Unreleased”と記されています
UFO_box_r.jpg
『Official Bootleg Box Set 1975-1982』 Chrysalis/EMI 2009
Mastered by Peter Mew at Abbey Road Studios, London

しかしこう立て続けに聴くとさすがに腹一杯。が、次回はいよいよ?タラの新作レインボー『九電』を取り上げる予定です。

そして、いよいよEC&JBが数時間後に迫ってきました。そちらもヒジョーに楽しみですね(ようつべが)。
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Comment
2010.02.14 Sun 00:46  ケーン #Jb4xbG8M
たどんさん、こんばんはです。
おつかれさまでした!!たどんさんの音楽的懐深さを感じ
るレビューに感心させられるばかりです!!!
いやー、これだけのボリュームタイトルを、ここまで掘り下げて聴くことは
簡単ではないと思いますよ。

しかし、この今回の両BOXは、ワタシは嬉しかったです。
虹なんかもこんなブツをリリースしてほしいものです。

虹、九電!!ですね!P店の虹作品はここのところ、毎作、ファンの反響が
すごいですね。店サイドも自信満々のようですし・・確かに仰せのとおり、P店、LHが結果として競うように良作をリリースしてくれてますので、これが大きいですね。ワタシは聴けるのが1週間後になりそうですので、
たどんさんの、このあと、UPされるレビューをみながら
楽しみに待つこととします。
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2010.02.14 Sun 01:40  たどん #AZV5XfxQ
ケーンさん、こんばんは。

あいや、過分なお言葉恐縮でございます。

僕の方はこれからMSG、G. Mooreの両箱をじっくり味わっていきたいと思います。ブートももちろん良いですが、こんな企画モノになるとやはりオフィシャルの底力を感じさせますよね。

しかしライヴはやっぱり良いですねー。

『九電』は店頭でちょこっと聴くことが出来たんですが、正直驚きました。問題はあの音が我が家でも出せるのか、という点ですが(笑)。とまれ、次回はコレで行きますのでまたお付き合い下さいませ♪
 / URL / Edit
こんばんは。
これ確か去年の夏か秋ごろにニュースに載ってた気がします。
UFOは前に一つだけEarly Flightというタイトルを持ってました
確かマイカルがUFOに入るきっかけになったライヴだったと思います。

Still I'm Sad聴かれましたでしょうか?
あとkentを見ていたら雷神3rdエディションがあったので思わず購入していましました
送料無料にするためMR.BIGのセール品とともに注文しました(笑)
 / URL / Edit
2010.02.15 Mon 12:25  たどん #AZV5XfxQ
kazさん、こんにちは。

『Early Flight』は僕も聴いたことがあります。おそらくバンド加入直後、『現象』リリース前の音源だったと思います。

>Still I'm Sad聴かれましたでしょうか?

まずは78年の方を聴かせていただきました。後程76年も賞味させていただきますね。

ところで『雷神 3rd Edition』買われましたか~。何だかんだ言っても音質的にはこれが76年AUDの最高峰ですからね、聴き応えはかなりのものです。が演奏内容は、となるとそうは言い切れないところがやはり面白いところでして。ともあれ、虹ブートのマスト盤、入手おめでとうございます♪
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