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西方徘徊 161:JEFF BECK GROUP『"BECK-FAST"』 1972年5月17日 シンシナティ

リリースされてからすでに一ヶ月半以上経ってますが、今回は久しぶりに第2期ジェフ・ベック・グループのライブを収録したブツを紹介したいと思います。

BECK-FAST.jpg

1972年5月17日 米コネチカット州ウォーターベリーに今も現存するパレス・シアターでの演奏。アルバム『Jeff Beck Group』(通称『オレンジ』)のリリース(アメリカでの発売は5月1日、英国は6月9日)に合わせてスタートしたUSツアー終盤の演奏ですが、それゆえの練り上がりと、この新作が前作『Rough And Ready』(最高位46位)よりも好意的に受け入れられたこと(最高位19位)もいい具合に作用してるんでしょうね。えらく気合いの入った、それでいてどこかリラックスしたムード(ベックのMCも何度か聞こえてきます)を感じさせる演奏になっています。

音の方はといえば、距離は感じますがノイズ感は少なく各パートのバランスも、ややボーカルがオフ気味に聞こえはするもののかなり良好。個人的にはベックのギターとマックス・ミドルトンのピアノがクリアに捉えられている点が嬉しく、70年代初期の密録ものにしてはかなり良質な部類に入ると思います。

音源としては97年にスケアクロウが出した『ORANGE CAKES』と基本的には同じものですが、まるで元テープのジェネレーションが2世代ほど若返ったかのような音の鮮度向上に加え、音量レベルが上がったことで聴感上の迫力が増していますね。

さらにその既発にあったカット部分、例えば1曲目の「Ice Cream Cakes」が始まる直前の20秒間や(ソロの途中の一瞬の音飛びも解消)8曲目「Definitely Maybe」のエンディング部分、本編が終了しメンバーが再びステージに登場するまでの90秒間を全て収録。あ、この秒数は本盤の登場によって明らかになったブブンですモチロン。

ではまずオープニング曲の「Ice Cream Cakes」をば。

TMOQ8204.jpg とその前にこの独特なジャケットのデザインについて触れておくと、76年頃に作られたアナログブート『Jeff Beck's BECK-FAST』(TMOQ8204:75年7月23日トロント・オキーフ・センターでのEarly Showを収録)のデザインがベースになっています。イラストはあのウィリアム・スタウト。でよく見るとテキサスっ娘?が食べてるシリアルが大先生の頭になっとるんですな。何ともシュールなスタウトワールド。。


BECK-FAST_s.jpg orange_cakes.jpg


orange_cakes_r.jpg
『ORANGE CAKES』
Scarecrow 008 1997
モノラル・オーディエンス音源収録 プレス1CD

どうでしょうか。クオリティが上がったとは言っても、所詮は密録音源レベルでのハナシ。誰にでもオススメできる代物ではないと思いますが、それでも我慢して?聴き進めてもらえればこの日のベックがどれほどスリルと閃きに満ちたプレイを繰り出していたか、分ってもらえるんじゃないかと。

というわけで、あと3曲ほど。

「Definitely Maybe」
「Jeff's Boogie」
「Got The Feeling」

クリアな音像ゆえ、ボブ・テンチが弾くサイドギターの音もクリアに聴こえてくる「Definitely Maybe」。ちなみに前トラック「Glad All Over」の最後、つまりこの曲をスタートする前のMCでは”次の曲はバラードだから退屈なら寝てていいよ”てなことを言ってるもよう。

続く5分半を超える長尺版「Jeff's Boogie」では3分弱に渡りベックが独奏で飛ばしていく音の縦横無尽っぷりが最高。それだけに既発ではカットアウトになっていたエンディング部分がきちんと収録されたのは嬉しい限り。

音源貼りはしてませんが、「New Ways」で始まりベックとコージーの掛け合いを含む「Plynth」を経て、スネアとバスドラを交互に連打するプレイに思わず後のレインボーでのそれを連想するコージーのソロから「Train Train」へとなだれ込んでいく怒濤の13分30秒がこの日最大のクライマックス。そしてアンコールに応えて演奏された「Let Me Love You」では冒頭ベックが「I Ain't Superstitious」のイントロをちら弾き。途中ちとユルめなベックのギターと客の掛け合いが聴けたりもします。

再びステージに戻り演奏されたラストナンバー「Got The Feeling」では右手で持ったスライドバーで弦をヒットして出す独特のトーンが聴きもの。なんと「夏の日の恋」のフレーズがちらりと顔を出したりして。また、中盤でベックのイントロダクション付きでクライブのベースソロも披露されますが、そんなオイシイところも音がクリアになったおかげでよりストレートに耳に入ってくるようになりました。

BECK-FAST_is.jpg

内ジャケには制作に使用されたと思われるカセットテープの画像(日立マクセルXLIIの海外向け仕様?)が。72年当時このグレードのテープはまだ販売されていなかったはず。ってことはマスターはまだ何処かに眠ってる?
Live at Palace Theatre, 100 E. Main St., Waterbury, Connecticut - 17th May 1972

PALACE_THEATRE.jpg

01. Introduction
02. Ice Cream Cake
03. Morning Dew
04. Keyboard Solo
05. Going Down
06. Tonite I'll Be Staying Here With You
07. Grad All Over
08. Definitely Maybe


09. Jeff's Boogie


10. Situation
11. New Ways
12. Plynth
13. Drum Solo
14. Train Train

Encore #1
15. Let Me Love You

Encore #2
16. Got The Feeling


Jeff Beck - guitar
Bobby Tench - vocals
Clive Chaman - bass
Max Middleton - keyboards
Cozy Powell  - drums

BECK-FAST_r.jpg
『"BECK-FAST"』
Tarantura TCDJBG-1
モノラル・オーディエンス音源収録 プレス1CD
200セット限定シリアルNo.入り
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Comment
2011.06.20 Mon 20:02  lee #.d.9hHpg
これ買いました!この時期の音源は1タイトルしか持っていなかったので。大好きなPlynthが聴きたかったってのもあり。新タラは桃印ばっかり買っているので、良い音に耳が慣れてしまっておりますが、これはこれで十分楽しめる音質です。あと1~2分演奏が長ければ、2CDになっていたであろうところを、ぎりぎり1CDで収まっていて、ちょっと得した気分です。
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2011.06.21 Tue 02:03  たどん #AZV5XfxQ
leeさん、こんばんは。お久しぶりです。

2期は比較的良質なAUDが少ないので、今回のバージョンUPは嬉しかったですね。一人やけにエキサイトした客のシャウトが目立つトラックがありますが、それも含めて楽しい音源です(笑)。

>ぎりぎり1CDで収まっていて、ちょっと得した気分です。

言われてみれば確かにそうですね。なのに見開き式のジャケ。このあたりの作りもナイスです。

桃印まだまだ色々出て来そうですね~
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こんばんは。

PbのHPで視聴した時にコレ買おうか悩んだんですが結局やめました(笑)
レインボーの78フレスノ公演も気になってるところです。。。。

僕は先日大阪の旧BTRでDr.EbbettsのビートルズのHelp!のステレオを購入し、BTR通販で長らく(?)廃盤になってた同じくAbbey RoadのステレオとLHでMSGのプレスタイトルを注文しました。
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2011.06.23 Thu 01:52  たどん #AZV5XfxQ
kazさん、こんばんは。

あらやめちゃいましたか(笑)

78フレスノなるほど、どうすっかな~などと躊躇してる間に「RAINBOW 1978 京都 桃印は6月25日入荷予定!」なんて予告が。すっきりとは76年を〆ない気ですね(笑)。けどこれは行くしかないか~やはり。

Dr.Ebbettsシリーズ、個人的にはやや懐古的なアイテムと化してますが、MSGのプレスって今週出たやつですよね。

コレ以前取り上げた80年ベックと同じテーパー氏の音源ですよ。店でちら聴きさせてもらいましたが、ちょっと歪みっぽいですけど結構迫力ありましたね。
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こんばんは

唯一(?)のLA Connectionのライブverですからそそられます。
78も京都来てたんですね~
78も全公演録ってるんでしょうか?

Dr.EbbettsシリーズはリミックスされてるCD盤と違ってアナログの音をデジタル化したみたいなので09年盤リマスター盤よりも好きな人はいるみたいですね~
その09年リマスター盤がTSUT○YAでFor Saleとホワイトアルバムが1000円だったので速購入しました(笑)

80年のジェフってCycloneでしょうか?
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2011.06.24 Fri 21:36  OKASAKAN #9L.cY0cg
たどんさん、こんばんは。

今日はJeffのお誕生日ですね!
おめでとう・・・とここで言わせてください。
益々ご活躍ですが、次回は是非Rodと来日・・な~んて夢が叶うといいのですが・・・
(その前に今度こそアルバム出してもらわねば)

ところでこの項のジャケデザイン、個人的にかなり受けてます(笑)
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2011.06.25 Sat 11:29  たどん #AZV5XfxQ
kazさん、こんにちは。

78.5.21は『Definitive L.A. Connection』というブツに入っている音源を持っているので今回はスルーすることにしました。けどおっしゃる通り「L.A. Connection」はツアー序盤でしか演奏されていないようなので貴重、未聴なら持っていてソンはないと思います・・(笑)

それはそうと、桃虹78.1.18京都出ましたね。

>78も全公演録ってるんでしょうか?

どうでしょうね?録っていて欲しいような欲しくないような(爆)

ビートルズの09リマスター(ステレオバージョン)といえば、87年の初CD化の際にジョージ・マーティンがリミックスした『Help!』と『Rubber Soul』は同マスターがそのまま使われているんですよね。なるほど、そんなところにDr.Ebbettsシリーズの存在価値が今もあると。

>80年のジェフってCycloneでしょうか?

そうです。ちなみに86年の軽井沢、武道館2Daysもこの人の録音だそうですよ。
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2011.06.25 Sat 12:00  たどん #AZV5XfxQ
OKASAKANさん、こんにちは。

>今日はJeffのお誕生日ですね!
>おめでとう・・・とここで言わせてください。

どうもありがとうございます。何だかとても光栄です(僕が言うのもヘンですが:笑)。

新作のその後・・なかなか続報入ってきませんね。もしかして・・と何やらイヤな予感が走ったりもしますが、いやいやこのまま首を長くして待ちましょう~

そしてまた近い将来同じ空間であの先生の極上サウンドを堪能したいものです。

>ところでこの項のジャケデザイン、個人的にかなり受けてます(笑)

ふふ、これもブートならではの世界ですね。
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