西方徘徊 168:MONTROSE 『Warner Brothers Music Show 1975』 1975年1月20日フランクフルト
2つ続けて廃盤のタイトルを取り上げたので、今回は現在でも入手出来るブツを紹介してみます。
前回お題にしたパリ公演の15日前、1975年1月20日にドイツのフランクフルトで開催されたイベント”Warner Brothers Music Show”出場時の演奏を収録。今回はオーディエンス音源です。
10曲でトータル56分半とちょい。単独のライブじゃないので短めなセットになってますが、まずはこの日も部分的にスタジオバージョンと異なる、ライブ音源でしか聴くことの出来ないアレンジが随所にちりばめられているのが魅力的。
オープニング曲「I Got The Fire」と続く「Rock Candy」こそスタジオバージョンをほぼ踏襲した流れになっているものの(前者での気負い気味にも聞こえるギターソロがなかなか興味深い)、まずはベースとギターが軽くジャブを交わし合い、ベースソロ、そして鳴きのスライドギターが扇情的な音色を奏でる中盤の展開とエンディングをギターとボーカルの掛け合いで〆る「Bad Motor Scooter」。
これまで紹介したどのタイトルにも収録されていない貴重な「Paper Money」のライブバージョン。アルバムでは重厚なサウンドプロダクションで仕上げられていた「Spaceage Scrifice」はクリーンとディストーションを巧みにコントロールすることによって生まれるメリハリ感が魅力的だし、間髪入れず一気に吐き出す様にバリバリと弾き倒すソロから、74年のクリーヴランド音源でも聴くことの出来るブルースインプロヴィゼーションへと突入していく流れも実に見事。
と思いきや、その直後に1分程度ですかね、テープチェンジに因るものと思われる突然の欠落が発生してしまうんですが。
クライマックスはそのブルース曲からやはり畳み掛けるように演奏される必殺チューン「Rock The Nation」とドラムソロを挟んでから「Space Station #5」へと一気呵成になだれ込んでいくまさに鉄板の構成美。前者ではサビの部分にもひと味違うリズムアレンジが施されているのが興味深いし、中盤の緩急を効かせたインプロヴィゼーションも効果的に響く。そして最後は「Good Rockin' Tonight」という直球なロックンロールで了。
それにしても、このフィンガリングやピッキングの微妙なニュアンスまで聴き取れるような音像の面白さたるやどうだろう。とにかくギターの音がやけにクローズアップされているのが特徴。そのせいで時々歌がかき消されてしまうなど、バランス的には聴きやすい音源とは言えないのかも知れないけど、今はとにかくロニー・モントローズというギタリストの技と音を、そこを浴びるように聴いていたい自分にとってこいつは何とも抗し難い魅力をもったブツなんですよね。
そして基本アグレッシヴに、曲のムードをギター1本で決定付けてしまう押しの強さというか、存在感溢れるギターワークをあらためて堪能させてもらった次第。
更に言うと、あの良く言えばバリエーション豊か、悪く言えばデビュー作に比べ統一感を欠いた仕上がりになっている2nd『Paper Money』のクオリティの高さと旨味が今更ながらに身に沁みたりして。そんな嬉しい副産物を実感しながら、あらためてモントローズ良いなぁ、で今宵も更けていくのでありました。
ところで、”Warner Bros. Music Show”とは一体何ぞや?ってことで調べてみたところ、どうやら2日間での開催だったらしく、こんなラインナップだったことがわかりました。
1月20日 : Montrose, Tower Of Power, Little Feat
1月21日 : Graham Central Station, Bonaroo, The Doobie Brothers
当時デビューしたてのBonarooがレアですが、ドゥービー・ブラザーズでジョン・ハートマンとその屋台骨を支え合ったドラマー、マイケル・ホサックがドゥービーを離れた後に結成したグループ。ところがそのマイク、なんと今月12日に65歳の若さで亡くなってしまったんですよね・・・。
そしてさらに深堀り?したところ、当時こんなLPが制作され、その写真が今回のブツのスリーブに使われていたんですね。
『THE WARNER BROS. MUSIC SHOW』
Label:Warner Bros. Records – WB 26 028
Country:Germany
Released:1974
SIDE-A
1. Pursuit On 53rd St. / The Doobie Brothers [2:33]
2. Feel The Need / Graham Central Station [3:53]
3. Oh Atlanta / Little Feat [3:26]
4. Bad Motor Scooter / Montrose [3:43]
5. Don't Change Horses (In The Middle Of A Stream) / Tower Of Power [3:02]
6. Sally Ann / Bonaroo [2:55]
SIDE-B
1. Black Water / The Doobie Brothers [4:17]
2. We've Been Waiting~Release Yourself / Graham Central Station [4:27]
3. Dixie Chicken / Little Feat [3:55]
4. Connection / Montrose [5:42]
5. Only So Much Oil In The Ground / Tower Of Power [2:59]
モントローズは「Bad Motor Scooter」と「Connection」の2曲が収録されているようですが、ん?「Connection」??
2nd『Paper Money』の2曲目に入っているストーンズのカバー曲ですが、今回のブツには未収録じゃないですか。ってことはこの音源は全曲収録じゃないってこと?それとも単なる曲名の表記ミスとか?
しかもトラックタイムを見ると「Bad Motor Scooter」が今回の音源のそれに比べて2分程短い。これは一体どうしたことか?
そこで改めてスタジオ版の曲時間を手持ちのCDで確認してみたところ前者は「3:43」後者は「5:44」となっていました。なんてこたぁない、このLPは当日出場したグループのスタジオ音源をコンパイルしたものでしたというオチ(ってことでいいんですよね?)。
前回お題にしたパリ公演の15日前、1975年1月20日にドイツのフランクフルトで開催されたイベント”Warner Brothers Music Show”出場時の演奏を収録。今回はオーディエンス音源です。
10曲でトータル56分半とちょい。単独のライブじゃないので短めなセットになってますが、まずはこの日も部分的にスタジオバージョンと異なる、ライブ音源でしか聴くことの出来ないアレンジが随所にちりばめられているのが魅力的。
オープニング曲「I Got The Fire」と続く「Rock Candy」こそスタジオバージョンをほぼ踏襲した流れになっているものの(前者での気負い気味にも聞こえるギターソロがなかなか興味深い)、まずはベースとギターが軽くジャブを交わし合い、ベースソロ、そして鳴きのスライドギターが扇情的な音色を奏でる中盤の展開とエンディングをギターとボーカルの掛け合いで〆る「Bad Motor Scooter」。
これまで紹介したどのタイトルにも収録されていない貴重な「Paper Money」のライブバージョン。アルバムでは重厚なサウンドプロダクションで仕上げられていた「Spaceage Scrifice」はクリーンとディストーションを巧みにコントロールすることによって生まれるメリハリ感が魅力的だし、間髪入れず一気に吐き出す様にバリバリと弾き倒すソロから、74年のクリーヴランド音源でも聴くことの出来るブルースインプロヴィゼーションへと突入していく流れも実に見事。
と思いきや、その直後に1分程度ですかね、テープチェンジに因るものと思われる突然の欠落が発生してしまうんですが。
クライマックスはそのブルース曲からやはり畳み掛けるように演奏される必殺チューン「Rock The Nation」とドラムソロを挟んでから「Space Station #5」へと一気呵成になだれ込んでいくまさに鉄板の構成美。前者ではサビの部分にもひと味違うリズムアレンジが施されているのが興味深いし、中盤の緩急を効かせたインプロヴィゼーションも効果的に響く。そして最後は「Good Rockin' Tonight」という直球なロックンロールで了。
それにしても、このフィンガリングやピッキングの微妙なニュアンスまで聴き取れるような音像の面白さたるやどうだろう。とにかくギターの音がやけにクローズアップされているのが特徴。そのせいで時々歌がかき消されてしまうなど、バランス的には聴きやすい音源とは言えないのかも知れないけど、今はとにかくロニー・モントローズというギタリストの技と音を、そこを浴びるように聴いていたい自分にとってこいつは何とも抗し難い魅力をもったブツなんですよね。
そして基本アグレッシヴに、曲のムードをギター1本で決定付けてしまう押しの強さというか、存在感溢れるギターワークをあらためて堪能させてもらった次第。
更に言うと、あの良く言えばバリエーション豊か、悪く言えばデビュー作に比べ統一感を欠いた仕上がりになっている2nd『Paper Money』のクオリティの高さと旨味が今更ながらに身に沁みたりして。そんな嬉しい副産物を実感しながら、あらためてモントローズ良いなぁ、で今宵も更けていくのでありました。
ところで、”Warner Bros. Music Show”とは一体何ぞや?ってことで調べてみたところ、どうやら2日間での開催だったらしく、こんなラインナップだったことがわかりました。
1月20日 : Montrose, Tower Of Power, Little Feat
1月21日 : Graham Central Station, Bonaroo, The Doobie Brothers
当時デビューしたてのBonarooがレアですが、ドゥービー・ブラザーズでジョン・ハートマンとその屋台骨を支え合ったドラマー、マイケル・ホサックがドゥービーを離れた後に結成したグループ。ところがそのマイク、なんと今月12日に65歳の若さで亡くなってしまったんですよね・・・。
そしてさらに深堀り?したところ、当時こんなLPが制作され、その写真が今回のブツのスリーブに使われていたんですね。
『THE WARNER BROS. MUSIC SHOW』
Label:Warner Bros. Records – WB 26 028
Country:Germany
Released:1974
SIDE-A
1. Pursuit On 53rd St. / The Doobie Brothers [2:33]
2. Feel The Need / Graham Central Station [3:53]
3. Oh Atlanta / Little Feat [3:26]
4. Bad Motor Scooter / Montrose [3:43]
5. Don't Change Horses (In The Middle Of A Stream) / Tower Of Power [3:02]
6. Sally Ann / Bonaroo [2:55]
SIDE-B
1. Black Water / The Doobie Brothers [4:17]
2. We've Been Waiting~Release Yourself / Graham Central Station [4:27]
3. Dixie Chicken / Little Feat [3:55]
4. Connection / Montrose [5:42]
5. Only So Much Oil In The Ground / Tower Of Power [2:59]
モントローズは「Bad Motor Scooter」と「Connection」の2曲が収録されているようですが、ん?「Connection」??
2nd『Paper Money』の2曲目に入っているストーンズのカバー曲ですが、今回のブツには未収録じゃないですか。ってことはこの音源は全曲収録じゃないってこと?それとも単なる曲名の表記ミスとか?
しかもトラックタイムを見ると「Bad Motor Scooter」が今回の音源のそれに比べて2分程短い。これは一体どうしたことか?
そこで改めてスタジオ版の曲時間を手持ちのCDで確認してみたところ前者は「3:43」後者は「5:44」となっていました。なんてこたぁない、このLPは当日出場したグループのスタジオ音源をコンパイルしたものでしたというオチ(ってことでいいんですよね?)。
Live at Jahrhunderhalle, Frankfurt, Germany - 20th January 1975
01. Introduction
02. I Got The Fire
03. Rock Candy
04. Bad Motor Scooter
05. The Dreamer
06. Paper Money
07. Spaceage Sacrifice
08. Guitar Solo / Blues
09. Rock The Nation
10. Drum Solo
11. Space Station #5
12. Good Rockin' Tonight
Ronnie Montrose - guitar
Sammy Hagar - vocals
Alan Fitzgerald - bass
Denny Carmassi - drums
01. Introduction
02. I Got The Fire
03. Rock Candy
04. Bad Motor Scooter
05. The Dreamer
06. Paper Money
07. Spaceage Sacrifice
08. Guitar Solo / Blues
09. Rock The Nation
10. Drum Solo
11. Space Station #5
12. Good Rockin' Tonight
Ronnie Montrose - guitar
Sammy Hagar - vocals
Alan Fitzgerald - bass
Denny Carmassi - drums
『Warner Brothers Music Show 1975』 Uxbridge-301
オーディエンス音源収録 1CD-R
西新宿LH 3,500円
オーディエンス音源収録 1CD-R
西新宿LH 3,500円
- 関連記事
-
- R.I.P. Bob Welch
- 西方徘徊 168:MONTROSE 『Warner Brothers Music Show 1975』 1975年1月20日フランクフルト
- MONTROSE 『Last Dreamer』1975年2月5日(?)パリ
Comment
Trackback
http://seemefeelmeclickme.blog86.fc2.com/tb.php/591-af20eac5